ひと目でわかる!米国特許年金の金額・期限【2024年最新版】
特許権を取得した後、権利維持のために支払う必要がある特許年金。
米国における特許年金制度は、日本と異なる点も多いことをご存知でしょうか。
本記事では、現在の米国特許年金の金額や納付期限などについて確認していきます。
米国の特許年金制度について―期間と金額
まずは、現在の特許年金納付の期間や金額がどのようになっているかを表で確認してみましょう。
特許維持年金 Patent Maintenance Fees |
納付期間 |
金額 |
||
通常 |
Small Entity |
Micro Entity |
||
1回目 |
登録日から
3年~3.5年
|
$ 2,000 |
$ 800 |
$ 400 |
2回目 |
登録日から
7年~7.5年
|
$ 3,760 |
$ 1,504 |
$ 752 |
3回目(満了まで) |
登録日から
11年~11.5年
|
$ 7,700 |
$ 3,080 |
$ 1,540 |
※本記事は2024/1/1改訂の情報を元にして作成しています。
最新情報は下記USPTOサイトに記載されていますので、あわせてご確認ください。
https://www.uspto.gov/learning-and-resources/fees-and-payment/uspto-fee-schedule
なお表に記載のあるように、一定以下の規模の出願人は「Small Entity」「Micro Entity」として認められると、各種の手数料が減額されます。
これら小規模団体の定義等については以下に比較的わかりやすくまとめられていますので、ご参照ください。
https://en.wikipedia.org/wiki/Large_and_small_entities_in_patent_law
米国特許年金に関する注意点
この表をご覧いただくにあたって、いくつか注意が必要なポイントがあります。
1. 年金納付は決められた期間内に
表のとおり、米国では最大で3回、特許年金納付のタイミングがあります。
このタイミングは、登録日を基準にして決定されます。
たとえば登録日が2018年4月1日の特許の場合、納付のタイミングはどうなるかというと…
1回目:2021年4月1日~2021年10月1日
2回目:2025年4月1日~2025年10月1日
3回目:2029年4月1日~2029年10月1日
※曜日、米国祝日等は考慮していません。
このように、権利維持のためには指定された期間内に年金を納付する必要があります。
なお、年金納付を前倒ししたり、一括して納付したりすることはできません。
また、日本と違い「1年につきいくら」という計算方法ではないことにも注意が必要です。
※日本の特許年金制度については特許庁サイトをご確認ください。
2. 納付期限を過ぎてしまった場合の猶予期間
先ほどの期間に納付しなかった場合でも、その後さらに6ヶ月以内であれば、追加料金(Surcharge)として1回 $500 (Small Entity: $200, Micro Entity: $100)を支払うことで、年金納付ができます。
このことをふまえると、実質的には登録日から4年、8年、12年という期日までに納付すればよいと考えることもできます(制度としてはこちらの考え方が本来的なようです)。
3. 猶予期間も過ぎてしまった場合の対応-特許権の復活制度
それでは、上記の期間内に年金納付がなされなければ、特許権は消滅するしかないのでしょうか。
米国では、特許の「復活」と呼ばれる制度があります。
年金の納付期間を過ぎてしまった特許について、「権利回復申請」(Petition for revival of an abandoned application)を行い、これが認められれば特許権を復活させることができるのです。
その際にかかる費用は以下の通りとなっています。
・申請費用 $2,100 (Small Entity:$840, Micro Entity:$420) (37 CFR § 1.17(m))
・年金未納額 (申請が認められた場合) (37 CFR § 1.378(b)(1))
この申請が認められるための条件として、年金未納が「故意でない」(Unintentional)ものである必要があります(37 CFR § 1.378(a))。
また、申請に期限はありません。特許権自体の存続期間(出願から20年)以内であれば、いつでも申請することが可能となっています。
4. 現地代理人手数料
その他、特許年金納付を現地代理人(米国特許弁護士)に依頼する場合、その手数料が別途発生します。
まとめ
米国の特許年金制度の概要について、ご理解いただけましたでしょうか。
年金未納のまま放置していたけれど、後からやはり必要になったという特許を復活させる手続きも、米国では比較的シンプルに行うことができます。
この機会にぜひ、自社の保有特許を見直してみることをおすすめします!
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