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特許無効資料調査のスピードアップとコストダウンを実現する4つの方法

Photo by Jackson Jost on Unsplash


競合他社から特許侵害の警告状が届いた…

新製品開発を進めるために、どうしても避けては通れない他社の特許がある…


そんなときに有効な選択肢の1つが、問題の特許を無効化できないか検討することです。

ただ、いざ無効資料の調査に取り掛かろうとすると、膨大な時間と費用が掛かってしまうこともしばしば。

そこで今回は、無効資料調査のスピードアップとコストダウンを実現するために役立つ、4つのテクニックを紹介します!


無効資料調査とは

まずはおさらいとして、無効資料調査とは何かを簡単に見ておきましょう。

いったん成立した特許であっても、審査過程で見落とされた文献や実施例などの資料が見つかり、新規性・進歩性が否定されて無効になることがあります。

無効審判や特許異議申立といった手段によって、対象の特許が無効であることを主張していくことになります。

※無効審判と異議申立制度の違いについては、異議申立・無効審判について(日本弁理士会近畿支部)を参照

そのために必要な「無効資料」を探し出す特許調査のことを、一般に「無効資料調査」と呼んでいます。

無効調査を含め、そもそも特許調査とはどういったものかについては、以下の記事にまとめました。合わせてお読みいただけますと幸いです。

  特許調査とは?特許担当者なら抑えておきたい3つの基本事項をおさらい 知的財産部門に配属され、特許担当者として仕事をすることになれば、避けては通れないのが「特許調査」という業務です。 しかし特許を調べるとは、実際にはどんなことをすればよいのでしょうか? 株式会社ロジック・マイスター



時間とお金を掛けられるかどうかによって対応は異なる

実際に無効資料調査を実施しようとなった場合、掛けられる予算がどれくらいかによって、どの程度の期間でどれだけの範囲を対象に調査するかを判断することになるでしょう。

仮に調査費を数千万円かけてでも見つけ出したいというような最重要案件であれば、無駄を承知で、考えられる全ての分類や文献で調査をしてもよいかもしれません。

ただ多くの場合、なるべく金額的・時間的コストを抑えながら、調査の成果を挙げる必要に迫られるものと思います。

そのためには闇雲に手を付けるのではなく、より計画的に、効率よく調査を進めることが重要になってきます。


無効資料調査を効率的に完了させる4つのテクニック

1 まずは「隠れ」特許分類から調査

ある発明の出願前に行う調査などであれば、まずはもっとも近い技術が入っていそうな特許分類(IPCなど)から調査を開始するのが、自然な流れとなるでしょう。

しかし無効資料調査においては、また別のアプローチが必要となります。

なぜなら無効化を考えている特許について、もっとも似ている技術が含まれる分類(必ずしもそれが対象特許に付与されているとは限りません)が付与された公報群は、特許庁の審査の時点で、すでに審査官による調査が済んでいるはずだからです。

その分類のなかから新たに、同一に近い先行技術の記載がある公報が発見される可能性はあまりなさそうですね。

むしろ技術的に似ている他の「隠れ」分類を先に調べてみると、審査段階で見落とされた公報が紛れ込んでいることがあります。


たとえば、半導体装置の発明に付与されるIPCに「H01L 23/00 半導体または他の固体装置の細部」があります。

ところが別の分類には「H05K 印刷回路;電気装置の箱体または構造的細部,電気部品の組立体の製造」というものも存在します。

この分類もハイブリッドICのような半導体装置関係がメインとなるため、どちらか一方の分類しか付与されておらず、したがって審査段階でもう一方の分類が調査されていない可能性があるのです。


実際の調査でも、問題となった特許に片方の分類しか付与されていなかったため、もう1つの分類を中心に調べていったところ、同一内容と思われる資料の発見に成功したということもありました。

なお、こうした技術的に近いけれども見逃されている「隠れ」分類は、当該特許の引用・被引用文献に付与されている分類から見つかることもありますので、要チェックです。


2 外国出願の審査で引用された特許情報を確認

まず、無効にしたい特許が他国でも出願されていないかどうかを調べます。

そして外国出願されていた場合にはその審査経過に関する情報を入手し、その国の審査で引用された特許公報等をチェックしていきます。

各国での調査はそれぞれの審査機関によってバラバラに行われていて、同じ発明であっても違う文献が引用されているケースも頻繁にあるのです。


この手法を採用するメリットは2つあります。

1つは、引用・被引用文献を見ることで、各国の特許庁の調査結果を利用できるということが挙げられます。

もし調査ターゲットに近い内容の引例等が見つかったなら、さらにその特許の各国ファミリーを調べていく、というやり方で多元的に各国の調査結果を活用することができるとも言えます。

また各国の調査範囲がわかれば、その国では調査対象となっていなかった分類をピックアップして、計画的に調べていく事も可能です。

そして2点目は、新たな外国語文献が発見され無効資料として使えるようになる可能性があることです。

仮に先行技術を示すポルトガル語やスペイン語の文献があったとしても、なかなかそこまで日本の調査担当者の手が回らないこともあります。


3 拡大先願の有無を確認

特許庁審査基準によれば、以下の場合には特許法29条の2に基づき特許を受けることができないとされています。

(i) 本願に係る発明が本願の出願の日前に出願された他の特許出願…の出願当初の明細書、特許請求の範囲…又は図面…に記載された発明…と同一であること。

(ii) 本願の出願後に、他の出願が特許掲載公報の発行若しくは出願公開…されたこと。

(iii) 他の出願に係る上記の発明等をした者…と、本願に係る発明の発明者とが同一でないこと。

(iv) 本願の出願時において、本願の出願人と、他の出願の出願人とが同一でないこと。

※特許庁『特許・実用新案審査基準 第III部 特許要件 第3章 拡大先願(特許法第29条の2)』より引用

いわゆる「拡大先願」の排除ですが、無効にしたい特許と同一内容の先願の存在が見落とされていた例が、過去にはあるようです。

ポイントは「対象特許よりも出願日が前で、公開日は後」となっている公報。

これに絞って検索してみることで、無効資料が発見できる可能性があります。


4 特許以外の技報等に開示がないかチェック

メーカー各社が技報等を発表している業界の場合には、これらも貴重な情報源として調査対象となるでしょう。

そこでおすすめしたい手法が、対象特許を使用した製品の歴史について調べることです。

世に出たのはいつなのか、どの時期にどんな企業がどういった技術をもって参入してきているのか。

といったことを調査していくと、どの企業の出願特許や技報を優先的に読み込むべきかが分かります。

あるいは同内容の技術を使用したと思われる製品の情報が、無効にしたい特許が出願される前に発行された各企業の技報に掲載されている場合もあります。

その製品が組み込まれた完成品をときにはリサイクルショップや解体業者まで行って入手し、無効資料として活用するという手段もありますので、訴訟など重要な事案で使える選択肢として頭に入れておいてもよいでしょう。


まとめ

ここまで、より効率的に無効資料を探し出すために役立つテクニックをご紹介してきました。

ロジック・マイスターでは、このような国内外の無効資料調査で数々の実績を挙げています。

より詳しい内容については、ぜひお気軽にお問い合わせください!




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