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特許調査費はどれくらい使う?適切な予算とは【出願前調査・クリアランス調査・無効資料調査】

Photo by Mathieu Stern on Unsplash


特許調査については社内で行う場合もあれば、調査会社などに依頼して業務効率化をはかるケースもあるかと思います。

いずれにしても限られた予算と時間の中でどれくらいのコストを掛けるべきか、お悩みの知財部員の方も多いのではないでしょうか。

特許調査の種別ごとに、調査費用を見積もる際の考え方についてまとめました。


目次[非表示]

  1. 1.出願前調査の場合
    1. 1.1.出願費用よりも安いことが前提
    2. 1.2.特許調査会社が設定する出願前調査費用
  2. 2.クリアランス調査の場合
  3. 3.無効資料調査



出願前調査の場合


出願費用よりも安いことが前提


1つのラインとして、出願前調査は出願そのものに必要なコストを超えない範囲で行うことが一般的ではないでしょうか。

自社出願を行っている企業であれば、明細書作成費用は「想定工数 × 想定時給 + 特許印紙代金」で概算が出るかと思います。

弁理士等の代理人に書類作成を依頼している場合には、代理人費用がこれに相当します。

この出願費用よりも調査費用が高くなってしまうと、調査せずに出願してしまったほうが安上がりということになります。


ちなみに企業によっては、特許出願と同時に早期審査を利用して、1年以内に拒絶理由通知(PCT出願の場合はサーチレポート)をもらい、近い先行技術が存在した場合には、優先権を使って再度実施形態等を補強するなり、先行技術を従来例に取り込んで再度出願する、というような手法を採る企業もあると聞きます。

重要案件で早期権利化が必要な場合には、スピードを重視してこのような対応もアリかもしれません。


特許調査会社が設定する出願前調査費用


特許調査会社各社が公表している料金表によれば、出願前調査費用として3万円~7万円程度の料金を設定している会社が多いようです。

社内で調査する場合もこの料金表をベースに、どの程度の時間をかけるべきかを考慮すると良いでしょう。


クリアランス調査の場合


クリアランス調査の予算は、企業によっては開発費に含まれるところもあると思います。

したがって、「開発費大→会社がこの開発に力を入れている」、「開発費小→開発にそれほど力を入れていない」ということになりますから、当該製品の市場予測規模と、販売開始後に受けるリスクに鑑みて、特許調査の費用感を検討する必要があると思います。

私のメーカー知財部時代の費用感としては、一回の調査で国内なら50万円以内、海外なら100万円以内といったところです。

また、各調査会社の料金表をベースに考えるのもおすすめです。


まずは調査をやるのかやらないのか、またどの国で調査をするか、さらには一旦調査してもその後に公開・登録される特許が出てくるので、定期的に継続的調査を行うかどうか、といったことを決めることが先決であろうと思われます。

費用対効果を考えれば、日ごろから出願前調査などで信頼できる調査会社を、可能なら信頼できる調査担当をも事前に見つけておくことが良いかなと思います。


費用が不足している場合には、リスクが高い国順に、段階的に国ごとの調査をしていく方法もあります。例えば、日本市場でしか販売しない場合は日本特許の調査だけで十分ともいえます。

この場合には、後日に追加調査をするためにもキーワードはなるべく使わないようにして、当該製品に関連する主な特許分類ごとに潰していきます。

それと並行して、当該製品に関連する特許分類で出願されたコンペチタ(競合他社)の登録特許、費用が許せば公開公報まで調査します。

その後、海外へ販売する可能性が高い場合には、海外コンペチタの登録外国特許だけは一応押さえておきます。


無効資料調査


無効資料調査の場合には、仮に催告された場合のダメージ金額についてある程度想定できるかと思いますので、それに応じた調査予算を組むことができます。

無効鑑定まで取ることも考えると、100万円くらいは必要かとは思います。

まずは、日本特許文献や技術文献から始まって、潰したい登録特許とのクレーム対比を行い、弁理士や弁護士が無効鑑定を書ける程度まで調査を進めることが第1ステップです。

もし、ダメージ規模が大きい場合には、1つの文献でメインクレームとの対比ができる文献を見つけるまで再現性のある調査を進めていくということになるかもしれません。

交渉中の案件であるとか、訴訟リスクが迫っている場合には、この調査は際限が無いので、常に「再現性のある調査」、つまり調査が完了した範囲と未着手の範囲がはっきり分かるような調査を行うことが、後々に活きてくると思います。


ちなみにもし、その特許が米国のNPE(特許不実施主体)の所有する特許で、かつその特許のカバー範囲が小さいマーケットの場合、IPR(当事者系レビュー、無効審判に相当)の費用が和解金相当額になることが多いとされます。

一般的なIPR費用(例えば、20~30万ドル)が調査費用決定の参考になるでしょう。このような和解金額に関しては、RPXなどの訴訟情報データベース企業からより正確な情報を得られる可能性があるとのことです。



特許調査の費用感や進め方など、お困りのことやご質問がありましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。


松本 美司

松本 美司

株式会社ロジック・マイスター 代表取締役

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