日本特許史上最多の請求項数はいくつ?審査請求料8000万円!?
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CSV出力した公報一覧のリストがずれている⇒原因は「請求項」!?
今回はいつもと趣向を変えた小ネタのご紹介です。
さて皆様、特許調査業務でこんな体験をしたことはありませんか?
やっとのことで検索式を作成し、公報一覧をCSV出力。
ダウンロードしたCSVファイルを開けてみると……妙な列が挿入されてしまってリストにズレが生じているではありませんか!
原因は、CSVにおける1セル内の上限文字数(32,767 文字)を超えていることにあります。
具体的には、
⇒商用データベースにて【請求項】を出力項目として選択し、公報一覧リストを出力した(2024年2月現在、J-PlatPatでは「請求項」を出力できないため、商用データベースとしています。)
⇒公報一覧リストに請求項がとんでもなく多い(長い)公報が含まれていて、その公報の請求項が1セル内の上限文字数を超える
⇒上限を超えた分の文字が下の列に出力された結果、公報一覧リストがずれる
そこで特許調査員Aはふと思いました。
請求項の数が一番多い特許出願はどれだろうか……?
請求項が1000、2000、はたまた5000を超える公報があるのだろうか……?
ということで、早速調べました。
出てきたのは、特表2007-514472。
なんと【請求項19368】です!(これって、代理人費用はどうなるの?)
請求項だけで文字数が100万字を超えています。
これだけの請求項の数、いったい審査請求料はいくら払ったのだろう……。
請求項の数で変動する納付金額です。とても気になります。
出願当時の審査請求料で計算すると、なんと77,640,600円でした!
そしてJ-PlatPatで経過情報を確認したところ……
この特表2007-514472は実際に審査請求されています!
けれど経過情報から納付金額を確認すると、審査請求料は272,600円。
実務者ならお察しのとおり、審査請求とともに補正書が提出されていて、請求項の数は26にまで減らされていました。
……8000万円弱の審査請求料が特許庁に納付されていたら、もっとブログが面白くなったんですけどね。
話はそう旨くいきません。
では登録された公報の中であれば、請求項の数が一番多い文献はどれなのでしょうか?
そうして見つけ出したのは特許第5675845号。
請求項の数: 381(登録された請求項の数と同数)
審査請求で納付された金額: 1,477,600円
8000万円弱に比べると少ないように感じますが、弁理士に依頼して特許1件を取得する費用
総額が100万円前後と言われてますので、審査請求料だけで150万円というのは十分に高額ですね。
ちなみに全出願での特許出願時における平均請求項数は、2007年で10.1、2022年でも12.3です。
(※特許行政年次報告書、参考URL:https://www.jpo.go.jp/resources/report/nenji/index.html)
年々少しずつ出願時の請求項数が増えてきていますが、それでも請求項の数が100を超えている出願は多くはないようです。
今回の記事を読んで、さらにすごい出願を知ってるよ!という方はこっそり弊社のお問い合わせフォームからご教示いただけると幸いです(笑)