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NPE・特許マネタイズ入門編!もっとよく知るための頻出キーワードを集めました

Photo by Christine Roy on Unsplash


特許マネタイズの実務にはじめて関わる人にとって大きな壁となるのが、専門用語の理解でしょう。

特許マネタイズが盛んに行われ、NPE等が活躍する主戦場が米国ということもあって、聞き慣れない専門用語が数多く登場し、語句や概念の理解に手こずる場面が多いかと思います。

加えてこれらの情報が日本語では手に入りにくいことも、ハードルを上げる一因となっています。

そこで、特許マネタイズにこれから本格的に取り組もうという方にとって少しでも助けになればと思い、特許売買やライセンス契約、特許訴訟等でよく登場するキーワードを簡単にまとめました。

※ 本記事は便宜のためにキーワードを整理したものであり、法的正確性を保証するものではありません。あらかじめご了承ください。


NPE (Non Practicing Entity)

特許不実施主体。言葉通りには大学や研究機関、防衛的特許アグリゲーターなども含まれる概念だが、ここでは便宜上、特許売買やライセンシング等の運用を行い収益化を図る企業・団体を指してNPEと呼ぶこととする(PAE等とも呼ばれる)。


Outright Sales

売り切り。単に特許を譲渡し売却利益を得る。買う側の視点ではoutright purchase。


Lump Sum

一括払い。特許の売却代金が一括で支払われる場合に使われる。反対に、一括でなく複数回に分けて支払われる譲渡契約もある。


Upfront

譲渡契約やライセンス契約締結後、比較的早い時期に支払われる一時金。頭金とも。この場合、NPEが運用によって利益を出してからあらためてその利益の一部が売り主に支払われることになる。


Revenue Share

利益分配。特許をNPEに譲渡するがその売却代金を得るのではなく、NPEがその特許を使って他企業にライセンシング等の運用を行い、得られた利益から一定の割合の金額を都度(中長期的に)受け取る方式。儲かったら山分け、成功報酬型とも。


Consideration

契約法における「約因」、対価関係。特許売買契約においては通例、買主が売主に支払う金銭的条件のこと。


Standing

当事者適格。特許を運用しているNPEが訴訟提起したときにしばしば問題となる。

原告が当該特許に対するall substantial rights(すべての実質的な権利)を有しているかが問われ、特許権者であっても譲渡人との契約内容によっては(例えばライセンス対象の選定についてNPEの裁量が限定されている場合など)認められない場合がある。


Encumbrance エンカンバランス

既存ライセンシー、担保権、抵当権、質権、その他各種既存契約に付帯する制限や負担等を上位概念として表現するときに用いる法務用語。エンカンバランスの有無は特許売買の価値評価にも大きく影響することがある。


Blacklist / Whitelist

特許売買時、その特許が誰に対してライセンス許諾されているかを売主が買主に知らせる方法。ブラックリスト方式ではライセンス許諾がされている企業のリストを通知する。一方、ホワイトリスト方式ではライセンス許諾をしていない(つまり、今後権利行使等を行ってもよい)企業のリストを通知する。

特に日本企業が売手となるディール運用では、各種既存契約が多岐にわたりブラックリストの確認に膨大なリソースがかかる。そのため、まずはNPEがホワイトリスト候補企業を提示し、売手がその候補企業に対するライセンス許諾の有無を確認し通知することでホワイトリストを完成させることが通例となっている。


Representations (Reps) and Warranties

ある内容が真実であることを表明し保証するという契約条項。特許売買契約においては主にエンカンバランスの有無等が問題となる。


Covenant Not to Sue

不提訴の合意。特許の買主がその特許を用いて売主を訴えないことを合意する契約条項。


Right of First Refusal

譲渡された特許がさらに第三者へと譲渡されようとするとき、まず元の売主が確認や拒否をすることができると定める契約条項。スタンディングの問題に影響する。


EoU (Evidence of Use)

特許実施証拠。ある製品について特許クレームの内容を実施していることを証明するもので、クレームチャートの形で構成を対比して示すことが多い。


WiLAN TSMC Framework

NPE大手のWiLANと半導体大手の台湾TSMCの間で締結された特許ライセンス・譲渡契約。半導体プロセス特許関連の特定のIPCコードを対象とした、交渉・訴訟等のプロセスを必要としないサブスクリプションライセンス。

WiLANが現状保有する特許だけでなく将来取得するものについてもTSMCにライセンスする、年間サブスクリプション(+場合によっては将来の追加支払い)形態の契約となっている。


おわりに

以上、特許マネタイズやNPEに関連するキーワードのご紹介でした。これからの業務にお役立ていただければと思います。

2021/6/2(水)に、本記事と関連するウェビナー「これからの日本企業の特許マネタイズ」を開催しました!

以下のページでその内容をまとめましたので、ぜひあわせてご一読ください。

  これからの日本企業の特許マネタイズ - 特許ポートフォリオ形成とNPE活用のすすめ | ウェビナー開催レポート | 株式会社ロジック・マイスター 2021/6/2(水)、ウェビナー「これからの日本企業の特許マネタイズ - 特許ポートフォリオ形成とNPE活用のすすめ」を開催しました。ウェビナーの様子をダイジェストでご紹介します。 株式会社ロジック・マイスター


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協力: MEISTER TECH ALLIANCES LLC / ファウンダー兼CEO 松本 祥治 氏


参考文献

Patent Encumbrances Can Reduce Market Value up to 100 Percent

https://www.ipwatchdog.com/2018/09/13/patent-encumbrances-reduce-market-value/id=101187/

WiLAN explains IP ‘framework agreement’ with TSMC, plans to offer similar deal structure to others

https://www.iam-media.com/litigation/wilan-explains-ip-framework-agreement-tsmc-plans-offer-similar-deal-structure-others

ロジック・マイスター 編集部

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