簡単にできる!中国で商標検索してみた結果
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近年、越境ECが盛り上がりを見せるなど中国市場の重要性はますます高まっており、中国で商品を販売する計画を立てている、あるいはすでに中国進出を果たしている方も多いかと思います。
しかしいざ商品を販売しようとしたら、中国ですでに第三者が同じ名前で商標を取っていて使用料を要求されるなど、中国では商標に関連するトラブルが後を絶ちません。
有名なケースでいえば、最近でも「無印良品」が中国企業に商標権侵害で提訴され、損害賠償を命じられています(2019年に高裁判決)。
「無印良品」の商標訴訟、良品計画が敗訴 中国
https://www.afpbb.com/articles/-/3260149
こうした状況のなか、自社商品やサービスに似ている中国商標が出願されてしまっていないか調べる必要性は高いといえます。
ただ、中国語がわからずどうやって検索すればよいかわからないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、弊社の商標である「ロジック・マイスター」に類似する商標を検索することを通して、中国商標の検索方法をご紹介したいと思います。
商標検索のはじめかた
まずは、国家知識産権局商標局の商標検索ページにアクセスします。無料で利用できます。
http://wcjs.sbj.cnipa.gov.cn/txnT01.do
左上の「商标近似查询」(商標類似検索)をクリックすると検索ページに入ります。
検索方法には、「自动查询」(自動検索)と「选择查询」(選択検索)の2つがあります。
自動検索ではシステムであらかじめ設定されているルール(詳細は割愛)による類似検索を行います。
一方、選択検索はユーザ自身で検索項目を設定する検索方法です。
今回は選択検索を利用して、「ロジック・マイスター (LOGIC MEISTER)」と似ている商標を検索していくことにします。
「国際分類」に商標分類コードを入力することで検索ができます。ただし、一度に検索できるのは1つの分類だけで、全ての分類を同時に検索することは残念ながらできません。
検索窓の右側にあるルーペのアイコンをクリックすると、国際分類の説明が表示されます。
ここから探すのもよいですが、商標の国際分類は日本でも共通のものを使用しているので、日本特許庁のサイトを参考にして分類を選んでも問題ありません。
https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/trademark/ruiji_kijun/ruiji_kijun9.html
第35類
広告、事業の管理又は運営及び事務処理及び小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供
ロジック・マイスターは特許調査会社ですので、最も当てはまる可能性の高い分類は第35類と考えられます。
ここでは販売しようとしている商品やサービスによって当てはまりそうな国際分類を選び、入力してください。
次に「查询方式」(検索方法)を選びます。
左から順に、「汉字」(漢字)、「拼音」(ピンイン)、「英文」、「数字」、「字头」(頭文字)、「图形」(図形)、で検索するという意味です。
1. 英語で検索
「ロジック・マイスター」の場合、名称で調べるには英語が最も検索しやすいため、「英文」を選択しました。
その下の「查询类型」(検索類型)では、検索ルールを選択します。
中国語 |
日本語 |
完全相同 |
完全一致 |
部分相同 |
部分一致 |
任意位置加字母 |
任意位置でローマ字の追加 |
变字母 |
ローマ字の変更 |
减字母 |
ローマ字の減少 |
含在其它商标中 |
他の商標に含まれる |
内含其它商标 |
他の商標を含む |
换序 |
順序の変更 |
逆序 |
逆順序 |
百分之二十相似 |
20パーセント類似 |
读音相同 |
発音一致 |
最後に、「商标名称」に商標の内容を入力し、検索を実行します。
検索結果を類似度合いが高い順に表示すると、最初の20件でMEISTERという文字が含まれていました。
特に16~18番目のものは、「MEISTER」単独で商標出願されています。
その中の1つをクリックし、詳細ページを見てみます。
この商標の出願人は貿易会社でした。
なお、商標権の期限は許可された日から10年間です。本件商標の場合は2019/06/21に許可されているので、2029/06/20まで有効となります。その後は有効期限を更新することが可能です。
次に、その他の検索方法も試してみることにします。
2. 漢字で検索
今度は同じ第35類において、漢字検索を試してみます。
ロジック・マイスターの漢字表記を考えると結構な手間がかかってしまうので、代わりに「明智光秀」という漢字で検索してみます。
(ちなみに第35類は小売業、広告業、人材サービス、コンサルティング業など様々な業種が該当する分類です)
17件がヒットしました。
件数が比較的少ないのは第35類であることが原因かと思われますが、2020年大河ドラマの主役にも選ばれた戦国武将の名前であることから、キャラクターグッズやお菓子等の国際分類で検索すると類似する商標出願が色々と出てきている可能性もあります。
3. 図形で検索
続いて、ロジック・マイスターのロゴと形が似ている商標がないか、図形検索で探してみます。
検索窓の右側にあるルーペのアイコンをクリックすると、図形コードの説明がでます。最大5種類まで選んで入力することができます。
これも中国語ですので、日本語で探す場合は別途J-PlatPatの「図形等分類表」を参考にしてください。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/t1101
ロジック・マイスターのロゴについては、以下の3つの図形コードが該当すると考えられます。
(三日月、半月)
(波線又は波状の帯で覆われた外見あるいは背景)
(曲線又は曲がった帯)
この条件で検索すると以下のようなロゴがヒットしました。
このように図形商標がたくさんヒットしました。
三日月型のようなありふれたモチーフを使っている場合、似たような商標がすでに登録されてしまっている可能性も高くなりますので十分注意しましょう。
4. 頭文字で検索
最後に「字头」(頭文字)検索について。
これは検索内容の頭文字、LOGIC MEISTERであれば「LM」が頭文字となる商標を検索することができる機能です。
なお、この検索方法では3文字以上の検索はできません。
このように頭文字が「LM」の商標が、第35類に限っても色々と存在することがわかりました。
まとめ
中国商標の検索方法についてご紹介しました。
操作はすべて中国語であるなどハードルが高いようにも思われがちですが、検索すること自体はそれほど難しくないことがおわかりいただけたかと思います。
特に中国でサービス展開を予定されている場合、事前に少し検索の手間をかけておくだけで、後々大きなトラブルに発展することを防げる可能性があります。(商標トラブル対策には、早期発見が非常に重要です)
中国・国家知識産権局のサービスでも色々な機能を使って無料で検索ができますので、ぜひ本記事を参考に、中国商標の検索にチャレンジしていただければ幸いです。