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ここまで進んでいる中国裁判のオープン化。ライブ配信580万件超

Photo by Brodie Vissers from Burst


「中国裁判公開網」(中国庭审公开网)のウェブサイト(http://tingshen.court.gov.cn/)にアクセスすると、中国全土の裁判所から累計580万件を超える(2019年12月時点)裁判のライブ配信、そして累計200億回超の閲覧、という数字が目立ちます。

2016年7月1日より、最高人民法院(最高裁判所に相当)における公開裁判は原則として全部すべてインターネット上でライブ配信されるようになっています。中国はより開放的で透明性・利便性の高い司法制度の実現を目指しているようです。

※出典 中国網(中国共産党公式サイト)「中国庭审公开网开通 将倒逼提升庭审质量、效率和效果」
http://www.china.com.cn/legal/2016-09/27/content_39381026.htm


中国裁判公開網の利用方法


中国裁判公開網のウェブサイトにアクセスするか、またはスマートフォンで人民法院(裁判所)のWeChatにアクセスすることで、中国の裁判を視聴することができます。



中国裁判公開網の利用方法について、簡単にご紹介します。

トップページに表示された中国地図から地域を選んで、省ごとに存在する法院(裁判所)を選択すると、現在行われている裁判のライブ配信にアクセスできます。

もちろん知財訴訟も見ることができます。例えば、北京の裁判所の一覧から「北京知識産権法院」を選択すると、主に特許・商標等の権利者が提起した国家知識産権局を相手とする訴訟を視聴することができます。



また、画面右上の検索窓から全国の案件を検索することもできます。

試しに「株式会社」と検索してみると、日本企業の案件が中心にヒットしました。案件の大半が、国家知識産権局を相手とした訴訟であることがわかって面白いですね。



ここからは最高人民法院のライブ配信について詳細を見ていきます。

こちらのリンク (http://tingshen.court.gov.cn/court/0)、もしくは先ほどの地図の左上にある「中华人民共和国最高人民法院」からもアクセス可能です。

最高人民法院知識産権法廷は2019年1月1日より設置され、全国の技術的専門性が高い特許等の知財訴訟に関する上訴を審理しています。

※最高人民法院における知識産権法廷の設置については発明推進協会「中国知的財産権最新ニュース(2019.01号)」を参照
http://www.jiii.or.jp/chizaiyorozuya/pdf/kawara/WB201901CY.pdf


以下は、最高人民法院裁判公開網のトップページです。



画面上部のタブ(庭审直播など)からライブ配信を検索できます。それぞれのタブから、以下の配信を検索できます。


  • 庭审直播:当日の配信
  • 庭审预告:翌日の配信予定
  • 直播回顾:過去の配信


トップページの右上の検索窓に、案件番号や開審時間や会社名などの基本情報を入力すると、関連する裁判情報が表示されます。

以下は基本情報の例です。



また「庭审直播」などを選択して進むと、案件を絞り込むことができます。



上から2番目の「案件类型」から「民事案件」を選択し、さらに「知识产权与竞争纠纷」を選ぶと、知財訴訟だけが表示されます。また、その下の「庭审法庭」で第一から第十までの知識産権法廷を選ぶことでも絞り込みは可能です。

ただし案件の分類についてはまだ完全とは言えず、あまり正確ではないので、「全部」にしておいたほうが良いでしょう。


以下は2019/11/11に行われた、特許無効訴訟の審理です。中国裁判公開網では本件のように、過去に配信された分についても無料で視聴できます。

http://tingshen.court.gov.cn/live/8841399


正面奥が裁判官、その手前は書記と技術調査員、左側は上告人、右側は被上告人です。

本件は約2時間にわたって口頭審理が行われ、上告人は一審判決に対する不満の理由を述べ、双方の反論が行われました。本件はまだ判決には至っていません。


オープン化がもたらす影響


中国裁判公開網は機能や内容の面でまだまだ改善の余地はありますが、中国の司法制度の開放への第一歩であると言われています。

裁判の生中継配信は、裁判官、訴訟当事者、そして一般の人のいずれにとっても重要な問題を投げかけています。

中国ではここ数年、特許出願・特許訴訟が大きなブームになっていますが、ライブ配信は特許を取り巻く状況にも大きな影響を与えるでしょう。裁判がオープン化していくことによって、公正な市場環境と法的保護が担保され、企業の新規技術開発の後押しにつながることが期待されます。

特許調査会社の観点でいえば、裁判官の条文解釈等の判断基準がより詳細にわかるようになることで、今まで以上に効率よく調査できるようになるので、歓迎すべき流れと言えそうです。


他にも中国では、多くの判決文がウェブ上で公開されるようになってきており、判決文を無料で検索することができる「中国裁判文書網」というものもあります。これについても別の記事でご紹介したいと思います。

ロジック・マイスター 編集部

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