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特許調査会社が相談を受けた、海外進出時の知財つまずきポイント

Photo by Lucas George Wendt on Unsplash



私たちロジック・マイスターは特許調査業務をメインに行っていますが、それに関連して外国で発生した知財問題についてもご相談をいただくことがあります。

今回は、事業の海外展開における知財トラブルを回避するために、役に立ちそうなポイントをまとめてみました。

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目次[非表示]

    1. 0.1.① 日本での特許出願は自社のほうが早かったのに、他社に米国で同じような特許を取られてしまった。
    2. 0.2.② 海外特許調査では、競合他社の所有特許を中心に検討していたが、ある企業が他国の企業から特許を購入して提訴してきた。
    3. 0.3.③ 米国現地法人の発明の取り扱いに関して、顧問弁護士から各国の輸出管理法の問題に注意するように指摘があった。
    4. 0.4.④ 米国子会社の発明を第1国出願するようにしたが、米国へ出向していた技術者から発明報償をもらえないのかとの問い合わせがあった。
    5. 0.5.⑤ 税金面での優遇がある国があることを知らず、事前に海外展開前の国での特許出願に伴う優遇制度を十分に調べていなかった。
    6. 0.6.⑥ 中国商標を出願してから3年経過後に、他社から不使用取消審判を起こされたが、使用していない指定商品の使用が立証できず取消となってしまった。
    7. 0.7.⑦ 各国で商標的使用の使用形態がどうも異なることを、中国の弁護士との話で感じた。
    8. 0.8.⑧ 中国で第三者に商標を勝手に出願されてしまった。知らない間に海外で商標価値が欠損しているのかもしれない。


① 日本での特許出願は自社のほうが早かったのに、他社に米国で同じような特許を取られてしまった。

技術的に日進月歩が想定される発明は、特許出願においても他社とのスピード勝負になります。
競合他社による出願を排除するために、外国でも出願日を確保しておいた方が良いという経験が得られました。
米国では日本語での仮出願が可能なので、まず仮出願で優先日を確保し、その仮出願を優先権主張して日本に出願すると良いでしょう。


② 海外特許調査では、競合他社の所有特許を中心に検討していたが、ある企業が他国の企業から特許を購入して提訴してきた。

特に米国では、NPEも含め特許売買を通じて特許ポートフォリオの補強に力を入れている企業が多くあります。
外国特許のクリアランスにおいては、競合他社が現在持っている特許に限定せずに調査することで、リスクの低減に繋がります。
また新たな国への製造販売が予測される場合には、開発部門や営業部門からすみやかに知財部門に情報伝達してもらうようにしたいものです。



③ 米国現地法人の発明の取り扱いに関して、顧問弁護士から各国の輸出管理法の問題に注意するように指摘があった。

米国における発明に関しては、現地にて第1国出願をするように社内ルーチンとしているような企業もあります。
米国特許出願番号に附帯する海外出願の許可を受けて、他国への出願を検討するという流れです。
半導体など、特に国防上の問題がある可能性がある技術は、海外で開発部門を設けた場合には、気を付けた方が良いかもしれません。



④ 米国子会社の発明を第1国出願するようにしたが、米国へ出向していた技術者から発明報償をもらえないのかとの問い合わせがあった。

海外進出前に各国の事情を調査の上、発明報償制度を各国ごとに設定するなど、発明者とのトラブルを事前に避けるための見直しを行ったほうが良いでしょう。



⑤ 税金面での優遇がある国があることを知らず、事前に海外展開前の国での特許出願に伴う優遇制度を十分に調べていなかった。

中国の事例が有名ですが、ハイテク企業認定などで税制優遇が受けられる可能性があります。
中国以外でも、特許出願を行うことで減税の優遇措置を受けられる可能性があることを頭において海外展開を進めることで、自社製品・知財の保護とコストダウンを両立することができます。



⑥ 中国商標を出願してから3年経過後に、他社から不使用取消審判を起こされたが、使用していない指定商品の使用が立証できず取消となってしまった。

中国商標では不使用取消審判が盛んに行われており、「使用している」ことが立証できる準備をしておかないと、足元をすくわれてしまうことにもなりかねません。
日ごろから、海外見本市の出展時やその他の販売伝票類に登録商標を使用してもらうなど、企業内で資料を残すように努力する必要があります。
また、中国の場合には、公的機関から発行される納税証明書(発票)が使用の証拠として有効であるようです。


⑦ 各国で商標的使用の使用形態がどうも異なることを、中国の弁護士との話で感じた。

日本での感覚をベースにするのは良いとしても、各国で微妙に商標的商標の使用形態が異なることもあり得ることも念頭において、海外のことは当該国の弁護士に一応確認して何事も進めた方がベターと思われます。



⑧ 中国で第三者に商標を勝手に出願されてしまった。知らない間に海外で商標価値が欠損しているのかもしれない。

自社製品の商標が中国で出願されていないかを、定期的にチェックすることをおすすめします。特に、売れ筋の商品は注意が必要でしょう。
中国では商標の不使用取消が非常に多くなってきています。中国ビジネスを行っていない場合、中国商標を維持するには、数年ごとに出願を繰り返すなど、現地の弁護士と最適の方法を選んで商標の品質などのブランドイメージが欠損しないように対処が必要かもしれません。


※ 日本の著名な日本酒ブランドが、無関係な中国企業に商標登録された例




海外進出の際は、知財トラブルを未然に防ぐため、ぜひ上記の情報を参考にしてみてください。


ロジック・マイスター 編集部

ロジック・マイスター 編集部

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