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外国出願の実務:海外で特許を取得するための基礎知識

Photo by Kyle Glenn on Unsplash


自社の所有する技術やアイデアが海外でも通用する、ということになると、海外でも特許を取得することを検討されると思います。

特許は、知的財産権を保護する強力な手段であり、他社との競争力を維持するために不可欠です。

しかし、海外で特許を取得する場合には、各国ごとの特許制度や手続きを理解することが必要となります。

ここでは、外国出願を検討する際に押さえておきたい基本的な知識を紹介します。


目次[非表示]

  1. 1.パリルート:パリ条約による優先権の主張
  2. 2.PCTルート:PCT(特許協力条約)出願
  3. 3.各国の特許制度の違い
  4. 4.現地代理人との連携
  5. 5.費用と時間の管理
  6. 6.特許取得後の維持と管理
  7. 7.まとめ


パリルート:パリ条約による優先権の主張

最初に特許を出願した国での出願日から12か月以内であれば、他のパリ条約加盟国で同じ発明について出願する際に、最初の出願日を「優先日」として主張することができます。

これを「優先権の主張」といいます。

外国で特許を取得する際に、非常に重要な概念となります。優先権を主張することで、他国での出願において最初の出願日を基準に審査が行われるため、権利化がよりスムーズに進みます。

※台湾はパリ条約に非加盟なので、優先日の主張ができません。台湾に独自に出願することが必要です。


PCTルート:PCT(特許協力条約)出願

PCT出願は、複数の国で同時に特許を取得するための国際的な出願手続きです。

一度の出願で、PCT加盟国(現在150以上の国と地域)に特許の申請を進めることが可能です。

PCT出願を行うと、国際調査報告が作成され、その結果に基づき、出願から30カ月以内に希望する国・地域へ移行し、それぞれの国の審査が進行します。

このプロセスにより、個別に各国に出願するよりも時間と費用を節約し、効率的に複数国での特許取得の準備が進められます。

ただし、最終的には各国ごとの審査を通過する必要があり、PCT出願そのものが自動的に特許になるわけではありません。


各国の特許制度の違い

特許制度は国によって異なるため、各国の特許庁がどのような基準で審査を行うかを理解しておく必要があります。

たとえば、米国特許庁(USPTO)では「ファースト・トゥ・ファイル」制度が採用されており、最初に出願した者に権利が与えられます。

また、欧州特許庁(EPO)では、統一された審査を経て欧州の複数国で特許権が認められます。

各国の特許庁での審査基準や手続きの違いを把握し、適切に対応することが重要です。


現地代理人との連携

外国で特許を取得する際には、現地の特許事務所や弁理士との連携が不可欠です。

特許出願は法律的な手続きが多く、言語や文化の違いもあるため、現地の専門家と協力することで手続きが円滑に進みます。

また、現地の法規制に詳しい代理人がいると、審査中の対応や特許の維持・管理にも有利です。


費用と時間の管理

外国出願には、出願費用、翻訳費用、年金(維持費用)など、さまざまなコストがかかります。

国によっては、特許が認められるまでに数年を要する場合もあります。

そのため、予算と時間を十分に考慮した上で、どの国に出願するかを計画することが重要です。

特に、多国籍での特許取得を目指す場合、どのような形で進めるか、戦略的な判断が求められます。


特許取得後の維持と管理

特許を取得した後も、その特許権を維持するためには、定期的に年金を支払う必要があります。

年金の金額や支払い期限は国ごとに異なりますので、管理が必要です。

また、特許権が侵害された場合には、現地での法的措置を検討する必要があるため、特許取得後の管理体制も整えることが大切です。


まとめ

海外で特許を取得する際は、パリ条約やPCT出願などの国際的な枠組みを理解し、各国の特許制度の違いに対応する必要があります。

現地代理人と連携しながら、コストや時間の管理を徹底し、戦略的に出願することで、国際的な市場での競争力を高めることができます。

特許取得後の維持管理も含め、慎重に計画を立てることが成功の鍵となります。

ロジック・マイスター 編集部

ロジック・マイスター 編集部

ロジック・マイスター編集メンバーが、特許・知的財産に関わる皆様のために様々な切り口からお役立ち情報を紹介します!

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