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【特許マネタイズ】高く売れる特許、売れない特許の違いとは?

Photo by Anne Nygård on Unsplash


事業転換や特許ポートフォリオの棚卸しのタイミングで余剰となった特許、あるいはより戦略的に資金獲得のために取得した特許を、売却・ライセンス等によって資金化する特許マネタイズに取り組んでいる企業も増えているかと思います。

もちろん特許マネタイズの成功のためには、より強く、より高値で売れる特許を持ちたいところです。

そこで、高く売れる特許となるためには、次の要素が関連してくると思われます。


目次[非表示]

    1. 0.1.A: 売却する時期がアンチパテントかプロパテントか(特に米国の場合)
    2. 0.2.B: 売却先がNPE・PAEか、それとも事業会社・メーカーか
    3. 0.3.C: 特許の対象が、最終製品か、それとも部品か
    4. 0.4.売れない特許は?


A: 売却する時期がアンチパテントかプロパテントか(特に米国の場合)

まず市場環境の問題ですが、政治的にアンチパテント(特許権が弱められる傾向)の時代には、全体的に特許の売買価格は安くなります。

逆にプロパテント(特許権が強く認められる傾向)の環境では、特許権の行使でどんどんお金を取ったりライバル企業のビジネスにも影響を及ぼしたりできるようになるため、特許自体の値段も釣り上がっていきます。

プロパテントやアンチパテントに関連する米国判例として有名なのは、「ポラロイド社が、コダック社の生産していたインスタントフィルムが自社の特許を侵害していると主張した裁判」だと思います。

※ https://www.nytimes.com/1991/07/16/business/kodak-settles-with-polaroid.html 参照

アンチパテント時代に提起された訴訟でしたが、15年にもおよぶ裁判の間に米国の政策がプロパテントに移行した影響もあり、コダックが敗訴し9億2500万ドル (当時で1000億円超)の損害賠償を命じられました。

また、下図の特許US4043027は、プロパテント時代に権利者が発明を拡大解釈することを裁判所が許容した特許であると私は認識してます。

この特許の請求項には、ワイヤを欠損しないように樹脂の流れが限定されていたのですが、権利者はプロパテント下で強気での主張を行っていたと記憶しております。つまり、樹脂の流れを限定した部分の機能的な限定は外して権利解釈ができるというものでした。



B: 売却先がNPE・PAEか、それとも事業会社・メーカーか

売却先がNPE(特許不実施主体)、PAE(特許行使主体)等の場合には、侵害している可能性が高い企業が多く、そしてその市場規模が大きいほど、高額な値が付くと思われます。

また、売却先がメーカー等の場合には、そこの将来的な事業展開の方向性と合致していれば、交渉次第で高額の値が付く可能性があると思います。

例えば、競合他社が強そうな多数の特許ポートフォリオを有していて、これに対抗するための特許を集めたいという後発メーカーが見つかれば、高値で売れる可能性があるのではないでしょうか?今ですと、EV技術とかは後発メーカーは欲しいかもしれませんね。

私が今まで特許を売却したケースですと、売却先は主にNPE等でしたので、比較的権利期間満了近くの特許が売れるケースが多かったです。まあ、当然と言えば当然ですが、権利期間満了が近く、かつ侵害可能性のある製品が世に出回っている場合には、その製品市場が成熟し大きなマーケットとなっているケースが多いからです。


C: 特許の対象が、最終製品か、それとも部品か

ロイヤリティ・実施料の面から特許の価値を考えると、特許を使っている対象物が部品の場合と最終製品とでは、単価のより高い最終製品を対象とした特許クレームが含まれていた方が、ロイヤリティは高額になると思います。


売れない特許は?

今まで述べてきたように、特許の価値評価には特許対象となる製品の範囲や、市場規模・将来性などが関わってきます。

そもそも、どの他企業も実施しておらず自社のみで実施している特許や、将来的にもマーケットの縮小が予測されるような製品群の特許は、買い手を見つけるのが難しいでしょう。

自社特許ポートフォリオの見直しを行う際には、ぜひ本記事の観点を参考にしてみてください。

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