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【特許ポートフォリオ】はじめての特許の棚卸し、おすすめの特許評価方法とは

Photo by Petrebels on Unsplash


特許や商標などの知的財産権は、取得費用だけでなく年ごとに権利を維持するための費用(特許料・登録料、いわゆる「年金」)も発生します。

そして、特許庁の料金一覧を見ればわかるように、古くなるほど年金も高額になっていくため、取得した特許や商標をひとつ残らず満期まで保有し続けることは、件数が多くなるにつれ知財コストが膨大になってしまい現実的ではありません。

そのため、予算と自社事業の方向性から保有知財に優先順位をつけて、場合によっては知財を放棄する選択をする必要も出てきます。

そこで、過去やってきたおすすめの特許棚卸し方法をご紹介します。


目次[非表示]

    1. 0.1.特許評価会社を利用する
    2. 0.2.棚卸の観点:特許を多角的に評価する
    3. 0.3.放棄する特許のマネタイズも考える


特許評価会社を利用する

米国で特許マネタイズを行っている企業や弁護士に聞いたところによると、米国企業の米国特許が銀行の担保になっていたり(日本ではほとんど聞きません)、弁護士会のような団体が特許訴訟の資金を融資してくれたりするようです。

一方、特許流通に関しては、米国では特許オークションが開催され、かなりの高額で落札されています。例えばRCAやノーザンテレコムの特許には、日本の半導体企業も過去にいろいろと悩まされてきました。

米国にはこのような環境下で、「特許評価会社」というものが存在します。彼らによる米国特許の評価は、私の印象では信用できると考えています。

資金が許すなら、例えば年金が高くなる10年を経過した特許に関しては、このような米国の評価会社に評価を依頼してみるのも良いかと思います。現在お付き合いされている米国代理人などを通じて情報を集めれば、良い評価会社が見つかるかもしれません。


日本でも特許評価会社はあり、M&Aなどの際にはそれらの評価会社の評価結果が利用されるとも聞いております。

ただ日本特許の現金化は難しいというのが実感でして、日本特許を評価する際には、米国特許のファミリーとして一体で評価する方が良いかなというのが正直な気持ちです。

なお当社は、評価数値を出力することが可能なデータベースを使用可能ですので、もし興味がありましたらご相談ください。

また、同データベースでは、ETSI(欧州電気通信標準化機構)に登録された欧州標準特許の出力も可能ですので、一度お試しいただければと思います。


棚卸の観点:特許を多角的に評価する

私がメーカー知財部在籍時に社内で行ってきた特許の棚卸は、たいていは年金納付の時期に、以下のパラメータで評価していました。

年金費用を開発側が負担するか、知財部が負担するかによっても、パラメータの重みづけに影響するかもしれませんが、以下が参考になればと思います。

  1. 自社実施状況
    ・売上
    ・今後の市場拡大予測
  2. 製品アピールへの特許の貢献度合い
  3. 置換容易性(代替手段があるかどうか)
  4. ライセンスの有無(クロスライセンス時の貢献度も含む)
  5. 他社の使用状況
    ・侵害している可能性がある製品や企業とその売り上げ(クレームチャート作成)
    ・クロスライセンス先の契約更改に使えるかどうか
  6. 異議、無効審判を経験している特許かどうか

このようなパラメータを使用して、年数経過で年金が高額になるにつれて、ハードルを高くする評価手法であったと思います。


放棄する特許のマネタイズも考える

棚卸後の話になりますが、不要と判断した特許は自社や関連会社のライセンスを残しつつ、売却することも考えても良いかもしれません。

特許を購入しようとしている企業から、日本企業は特許を放棄することが多いが、その情報が事前に手に入らないかと相談を受けたことがあります。

米国特許の場合には、費用はかかりますが、OA時または登録後に放置したり、年金を支払わなかったりした特許であっても、復活することが可能です。実際に放棄した特許を何度か復活させた経験もあります。

よって、いったん放棄した後の米国特許であっても売却できる可能性があります。

この点は、知財部として会社が意思決定した特許を放置後に売却するとすれば、売却する社内説得は比較的容易になるかとも思っています。

また、特許売却によって得た資金の一部を発明者に実績報償としたり、棚卸を行うための費用として充填したりと、経費のいらない「真水」の資金なのでいろいろと使いやすくなるとも考えられます。ぜひ一度ご検討ください。

松本 美司

松本 美司

株式会社ロジック・マイスター 代表取締役

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