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【知財・特許担当者向け】開発者から「良い特許発明」を引き出す方法とは

Photo by Jan Antonin Kolar on Unsplash


良い特許とは何かといいますと、分野にもよりますが、攻守両面に役に立つことが良い特許の1つの要素といえるでしょう。

例えば、最終製品(消費者が手に取る製品)に関する発明を発掘しようとする場合には、その製品のアピールポイントを権利化することが、良い特許の取得につながると思われます。

もしその製品が売れるとすれば、アピールポイントとなっている部分が、購入者が欲しくなる大きな要因であることが多いからです。


開発者は「技術屋さん」という属性から、どうしても複雑に発明を捉えてしまうことがあります。

一方で明細書作成者(知財担当者)は、技術的構成を特徴のあるものとして審査官にアピールし、スムーズに特許になりやすくするために、開発者の意見に誘導されてしまう傾向がみられます。

しかし、今まで様々な会社と交渉した経験からすると、この場所を面取りしたとか、曲げているとか、構造的にその技術を使っていることが外観で分かってしまうような発明が最も交渉で論破し難かったのを覚えています。

つまり、特許侵害があることを開発者や知財部が容易に見つけられるような特許が、攻守両面において役に立つといえるのではないかと思います。


逆に侵害立証が難しかった例として、方法特許の侵害を見つけるために、インドなどの調査会社にプログラム解析を依頼したことがありました。

しかし、単純な8ビットの時代ならともかく64ビットとなると、使っていないようなプログラムがいろいろと記憶されているメモリから、特許技術に関係ある部分だけを抽出してフローチャートを作成するのは、不可能に近いと言わざるを得ませんでした。言うまでもなく、当時と比べてもハードウェア・ソフトウェアの両面で複雑化し続けています。

プログラムそのものを読み込んで特定するようなアプローチが困難となったソフトウェア発明においては、構造物と同じように、見てわかる画面の変遷でフローを追えるような発明が攻守に役に立ったと記憶しています。


したがって、発明者から良い発明を引き出すためには、以下のポイントを抑えると良いと思います。


  • エンドユーザーにどうアピールするかの観点で発明を抽出し、
  • その抽出した内容をできる限り侵害立証しやすいようにして、
  • 後にその特許を使う場合に、できる限り知財部が苦労せずに済むようにする


発明者と仲良くなることが、良い発明を引き出すのに最も効果的なアプローチの一歩であることは、今も昔も変わりませんが…。

松本 美司

松本 美司

株式会社ロジック・マイスター 代表取締役

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